
スポーツのチカラ vol.8 見えてないものが見える

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今回は、「ゴールボール」という視覚障がい者の競技を紹介します。
1チーム3名で、高さ1.3m、長さ9mのゴールに向かってボールを投げ合い、得点を競う対戦型の競技です。コートの大きさは、バレーボールと同じ。ボールの大きさは、バスケットボールとほぼ同じで、中に2つの鈴が入っています。ボールの重さは、バスケットボールのほぼ2倍で、1.25kgです。実際に持ってみると、ずっしりとして重たく、相手が投げたボールを体で受けるとかなり痛そうです。
ゴールボールでは、「音」「振動」「感触」から得る情報がキーポイントとなります。そして、得た情報をチームメイトに伝え合うコミュニケーションの取り方が大切です。
コートには、たこ糸の上にテープを貼ったいくつかのラインや印があり、手で糸の凹凸を確かめ、コート上の自分の位置を認識します。そして、相手が投げるボールの鈴の音、足音、床や手を叩く音、息づかい、かけ声などの音、床から伝わる振動などから得た情報から味方選手、相手選手の位置や動きを把握し、投げられたボールの軌道を予測し、ゴールを守ります。
ロンドンパラリンピックで金メダルを獲得した元日本代表の浦田理恵選手は、実際には見えてない相手の選手の姿が見えると言います。視覚以外の感覚を研ぎ澄まし、フル活用することで、見えないものが見えてくるという感覚でしょうか。
文・撮影:佐山 篤
全国スポーツ推進委員連合機関誌「みんなのスポーツ」2023年1•2月合併号