スポーツのチカラ vol.9 多様な見えにくさ
1月7日、ロービジョンフットサル日本選手権が開催されました。17回目の日本選手権ということでしたが、映像でも見たことがなく、初めて見る機会でした。強烈なシュート、相手をかわす巧みなドリブル、精度の高いパスワーク、想像を超える迫力があり、見えにくさの中でのプレーとは思えませんでした。
ロービジョンフットサルは、パラリンピック競技のブラインドサッカー同様、視覚障がい(除く全盲)のフィールドプレーヤー4人と、弱視または晴眼のゴールキーパー1人の5人が、40m×20mのピッチで対戦します。ブラインドサッカーとの大きな違いは、選手たちはアイマスクを着用せず、それぞれの見え方、そのままの状態でプレーをするところです。また、鈴が入っていない通常のフットサルのボールを使用します。
ロービジョンフットサル選手たちの見えにくさの症状は、ぼやけ、欠け、にごりなどがあり、これら複数の症状が掛け合わされた選手もいます。一人ひとりの見え方が違うため、選手同士でのコミュニケーションを大切にしているそうです。お互いがどういう見え方をしているのかを理解することにより、この選手は、こういう見え方だから、こういう声かけをしよう、こんなパスを出そうなど、それぞれの見え方を活かしつつ、それぞれの見えにくさを補い合うことを考えながらチームワークを発揮し、プレーをしているそうです。
観戦を通じて、それぞれ異なった多様な見え方の選手たちが、お互いのことを考えながら一緒にプレーをするところが、ロービジョンフットサルの大きな魅力だと感じました。
現在、国内では4つのクラブチームがあるそうです。選手たちは日頃から自身のプレー技術の向上に励んでいるとともに、目に障がいがあってもサッカーができることを伝えていきたいという思いで普及啓発活動もおこなっています。
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